投稿者:鵜飼 柔美
先日は、私が主宰するカウンセラーの勉強会「桜下塾」の大阪でのリアル開催日でした。
今回は少し趣向を変えて、私自身のセッションの録画と、一字一句を書き起こした「逐語記録」を教材に、対話の精度を検討する……という、主宰の私にとっても背筋が伸びるような濃密な時間でした。
その中で、メンバーが注目してくれたのが、指導者である私の「情報提供(アドバイス)のしかた」でした。
私たちキャリアカウンセラーは、相談者の自律的な意思決定を支援する存在です。
そのため「こうしなさい」という助言よりも、ご本人が「こうしたい」と気づく瞬間を大切にします。
しかし、意思決定に「情報」が必要な場面は必ずあります。
知っていれば道が開けるのに、あえて伝えないのは不誠実ではないか。
かといって、伝えた瞬間に相手の「自分で考える力」を奪ってしまうのではないか……。
多くの対人支援者が、このジレンマに悩みます。
私は情報を手渡すとき、とても慎重に「土を耕す」工程を踏みます。
1. 気持ちを肯定し、地盤を固める
なぜその情報が必要なのか、どんな思いで解決を望んでいるのか。
まずは困惑や焦る気持ちを丁寧にお聴きし、その姿勢をまるごと肯定します。
2. 過去の経験という「種」を探す
「以前、どこかで耳にされたことはありますか?」と問いかけます。
「誰かに聞きましたか?」と聞かないのは、「行動していない自分」を責められたように感じさせないためです。
3. 「受け取る権利」を相手に返す
「お役に立てるかもしれない情報がありますが、お伝えしてもよろしいですか?」と、情報を受け取るかどうかを選択してもらいます。
4. 最後に「余白」を添える
お伝えしたあとに「何か参考になりそうでしょうか?」と伺います。
「言われたからやらなきゃ」というプレッシャーを、そっと取り除くためです。
押し付けのアドバイスは、時に相手の成長を止めてしまいます。
でも、丁寧に耕された土に蒔かれた情報は、相手自身の力で芽吹く「肥料」になります。
最も大切なことは、たとえ「助言を与える側」と「受け取る側」という立場があったとしても、相手の尊厳を奪わないことです。
自分にとってその情報が必要かどうかを考え、選択し、行動するかどうかを自ら意思決定する権利。その権利を尊重することこそが、対人支援の本質だと考えています。
部下育成や大切な人との対話の中で、もし「伝え方」に迷うことがあれば、この「耕し」の工程を思い出していただけたら幸いです。
勉強会のあとは、これぞ大阪!のお好み焼きを。
関東から参加してくれたメンバーも喜んでくれました。
濃密な学びのあとのリラックスした時間が、また明日への「肥料」になりますよね。

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